古本・古書の保管方法や環境

 古本屋を経営していますと、よく本の保管に関してアドバイスを求められることがあります。知りえている範疇でお答えしていることをまとめてみました。

1 室温は20度弱、湿度は40%から60%に保つ

 湿度が高いところで長時間保管すると、薄く白く広がるカビが発生することもあります。

 また紙魚等の虫の格好の生息場となることもありますので、湿度はやや乾燥気味の方がいいと思います。
 室温も20度前後が良いと思われます。

2 防虫剤などで予防を

 本の買取をしていますと、少し気味の悪い話なのですが、函の中から虫が出てくることがあります。稀にゴキブリなども出てきます。私が思うに紙を食べている場合もあるもあると思います。
 定期的に防虫剤や、防虫スプレーなので予防をしといたほうがいいと思います。

3 太陽の光はできるだけ避ける

 紙にとって紫外線は大敵。直射日光が当たる所ならば数年で紙はボロボロになってしまいます。それほど紫外線は強烈です。

 買取に行きますと湿度管理された地下室での保管の本と、リビングの窓際に保管されていた本のさは歴然です。
 可能な限り日光の光が当たらないように保管されると良いと思います。

4 天に積もった埃は沈殿・沈着します

書籍の天(上部)の部分に積もったほこりは湿度が高いと沈殿し数年で、茶色の斑点のシミをつけてしまいます。ハケ等で払ってもその沈殿の痕は取れる事はありません。天の部分にほこりがたまれば早いうちに掃除をしておきましょう。

5 グラシン紙などで保護

 本を保護するグラシン紙と言う紙が販売されています。その紙が犠牲となって本を保護してくれます。すべての本に巻くのは大変な作業ですが、生涯にわたり大切にしたい本だけにでも包んでおかれることをお勧めします。

6 保管、蔵書の概念が変わってきました

 本好きな人は。本当にたくさんの書店や古書店に通って本を集められています。時間もお金もかけた愛蔵書を手放されるのは断腸の思いだと思います。
 

 しかしながら、現在では蔵書と言う概念も少し変わったかもしれません。一昔前、インターネットがなかった時代に一度本を手放してしまうと、もう二度と巡り会わない可能性がある本もあったと思います。

 しかしながら今は一度手放した本をもしもう一度読みたいとお思いの時は、全国の古書店からネットで探すということができる時代になりました。昔ほど労力、時間はかかりません。
 私自身もそうなのですが、全ての本を何度も読み返すわけではありません。本当に何度も読み返したい本だけを手元に置き、後は売却・整理してしまう時代なのかもしれませんね。