理論物理学のための幾何学とトポロジーI

1985年から1986年にかけてイギリスのサセックス大学数理物理科学教室における研究員であったときに、大学院生および素粒子論、物性物理学あるいは一般相対論を専門とする教室のメンバーに向けて彼が行った講義内容を元に、それを大幅に進展させたものとなっています。

英語である原著を、中原氏ご本人と、理学博士の佐久間一浩氏の二人が和訳したものです。

また、本書は二つの分冊のうちの1冊目にあたります。

大きな特徴は、数学科ではなく、物理学科の学生向けに解説しているという点です。

現代物理学は現代数学と密接な関わりを持っています。

本書は、現代物理学を学ぶ上で必要となる最低限の現代数学を理解できるように配慮されたものとなっているのが特徴です。

これは、定理の証明については極端にテクニカルなものは省略して意味を伝えることに重点を置いたり、図をできるだけ多く示して具体的なイメージを把握しやすくしたりすることなどで、実現されています。

章立ては以下の通りです。

第１章：物理学からの準備
第２章：数学からの準備
第３章：ホモロジー群
第４章：ホモトピー群
第５章：多様体論
第６章：de Rhamコホモロジー群
第７章：Riemann幾何学
第８章：複素多様体

これらは大きく、「代数学、幾何学、解析学」の3分野に分けられます。

物理を勉強している読者の口コミによると、これらの異なる3分野について互いの関連性が説明されており、数学の世界の中で見事なつながりを持っていることが理解できたそうです。

また、それぞれの章ごとに参考図書が紹介されており、より理解を深めたいときの助けになります。

本書は現代物理学を学ぶ人にとって、よい手引書になることでしょう。

                                                                                                                       2023年1月の買取価格です