神戸市中央区の出張買取で生前整理から季刊『版画藝術』のバックナンバーなど版画と美術の蔵書を約400冊お譲りいただきました。版画藝術が号順に書棚に並ぶ様子

版画藝術 第21号【1978年春】李禹煥 オリジナル手摺木版画(サイン入り)特別添付

季刊『版画藝術』第21号(1978年春)は、もの派の旗手として国際的に知られる李禹煥のオリジナル手摺木版画3枚連作「削りによる場面」(サイン入り)が特別添付された号です。『版画藝術』は各号に作家のサイン入りオリジナル版画を綴じ込む季刊誌で、本号は限定部数で発行されました。綴じ込みの版画が残っているかどうかで評価が大きく変わる一冊です。

参考買取価格15,000円

※宅配買取にてご対応時の金額です。

買取価格は、状態や時期によって変動いたします。
査定金額は、実際の買取金額に近づくように「キズや使用感はあるが概ね良好」な状態を想定しています。

著者李禹煥(オリジナル版画)
出版社美術出版社
出版年月1978年
ISBN/規格番号
定価
買取ジャンル美術書・アート本コレクター本・その他

商品について

商品について

『版画藝術』はどんな雑誌なのか

『版画藝術』は1973年4月に創刊された、日本の版画を専門に扱う季刊誌です。1970年代の版画ブームのなかで生まれ、現在は東京都目黒区の阿部出版から刊行が続いています。2023年夏に創刊200号を迎え、単一のテーマで刊行が続く季刊誌としては世界でも長寿の一誌となりました。

この雑誌の大きな特徴は、各号に作家のサイン入りオリジナル版画が1点綴じ込まれていることです。雑誌でありながら、実際の版画作品を手に取って見られる構成になっており、そのために創刊当初から限定部数での発行が続けられてきました。古書として探される理由も、記事の内容そのものより、この綴じ込みのオリジナル版画にあります。

第21号に添付された李禹煥「削りによる場面」

1978年春に発行された第21号には、李禹煥のオリジナル手摺木版画3枚連作「削りによる場面」がサイン入りで特別添付されました。誌面の添付ページには、木版1版1色、インクは墨、用紙は楮生漉相模を用いたことが記されています。摺りは阿武正幸、梅田勝則、岡本俊樹の3氏によるもので、制作は1978年2月。エディションは8575、うちH.C.が400と記載されています。作家自身の言葉は本誌252ページに掲載されています。

版画藝術 第21号に特別添付された李禹煥のオリジナル手摺木版画3枚連作「削りによる場面」。木版1版1色・墨・楮生漉相模の用紙で摺られ、サインが入っている

表紙にはガストン・ヌーリーによるフランスとロシアを主題としたポスター図版が使われており、号全体としても図版の充実した一冊です。

「もの派」と李禹煥の版画

李禹煥の名は「もの派」とともに語られます。1960年代末から70年代にかけて、石、鉄板、ガラス、木材といった素材をほとんど加工せずに組み合わせ、素材そのものと空間の関係を示す試みが日本で起こりました。李禹煥はその運動を、作品の制作と理論の両面から牽引しました。

「削りによる場面」という題は、版木を削るという行為そのものを画面に残す考え方を示しています。描いて像をつくるのではなく、削った痕跡と余白のあいだに場を立ち上げる。もの派の作家が版画という技法に向き合ったときの手つきが、墨一色の摺りのなかにあらわれた作品です。

なぜこの号が探されているのか

理由は3つあります。ひとつは、李禹煥が国際的に評価の高い作家であること。2010年には直島に李禹煥美術館が開館し、2022年には国立新美術館で東京初の大規模回顧展が開かれました。兵庫県立美術館でも大規模な展覧会が開催され、いまも新しい観客が増え続けています。

ふたつめは、サイン入りのオリジナル版画であること。大判の版画作品とは価格帯が異なりますが、作家の署名が入った手摺の版画が誌面に綴じ込まれている点で、通常の雑誌とは扱いが変わります。3つめは限定部数の発行であること。刊行から半世紀近くが経ち、綴じ込みの版画が抜き取られている号や、状態の落ちた号が多くなっています。

手摺木版画の見どころ

用紙に使われた楮生漉相模は、楮を原料とする手漉きの和紙です。機械抄きの紙と違って繊維の絡みに揺らぎがあり、墨の乗り方も一枚ごとに変わります。1版1色という最小限の構成だからこそ、紙の地と墨の境目、摺りの圧のかかり方といった細部が見どころになります。

摺師の名前が明記されているのも、この号の価値を支える要素です。作家が版をつくり、摺師が紙に定着させる。日本の木版画がその分業のうえに成り立ってきたことを、添付ページの記載がそのまま伝えています。

買取について

査定でもっとも大きく影響するのは、綴じ込みのオリジナル版画が残っているかどうかです。版画が抜き取られている号は、資料としての評価に切り替わります。そのうえで、版画本体の状態(折れ、シミ、日焼け)、サインの有無、本誌の表紙と背の状態を確認します。判断に迷う場合は、版画を本誌から外したり、汚れを取ろうとしたりせず、現状のままお知らせください。

『版画藝術』はバックナンバーがまとまっているほど評価しやすくなります。神戸市中央区では、創刊初期の号から2000年代の号までそろえられた版画と美術の蔵書約400冊をお譲りいただきました。号がそろっている場合も、抜けがある場合も、まとめてご相談いただけます。

著者について

李禹煥(リ・ウファン)は1936年、韓国慶尚南道の生まれ。1956年にソウル大学校美術大学を中退して渡日し、日本大学で哲学を学びました。1960年代末から70年代にかけて、石や鉄板といった素材にほとんど手を加えず組み合わせる美術運動「もの派」を、理論と実践の両面で牽引した作家として知られます。2010年には香川県直島町に安藤忠雄との協働による李禹煥美術館が開館し、2022年には国立新美術館で東京初となる大規模回顧展が開かれました。兵庫県立美術館でも大規模な展覧会が開催されています。1970年頃から現在まで版画の制作を続けており、阿部出版から作品集『李禹煥 全版画 1970-2022』も刊行されています。

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