建築書の買取 建築家と設計者の蔵書は棚の並びから見ていきます

京都市左京区のお宅で、本棚の下の段に丸善の建築巡礼シリーズが番号順で並んでいました。その上は単行本の建築論と都市論、隣に海外都市の建築ガイドが続きます。さらに横には渡辺豊和の著作が4冊。『芸能としての建築』『和風胚胎』『文象先生のころ 毛綱モンちゃんのころ』が固まっていました。渡辺豊和は京都造形芸術大学で長く教えた建築家です。京都で教えた人の本が、京都のお宅の棚にまとまっていました。

ダイワブックサービスでは、建築の仕事をしてこられた方の蔵書を関西を中心に拝見しています。奈良市では建築家のご遺族から段ボール40箱、京都市山科区では建築家ご本人の生前整理で約300冊、高槻市で約1000冊、神戸市灘区で約200冊。棚の並び方には、その方が建築をどう見てきたかが残っています。

アルド・ロッシ『都市の建築』など建築論と都市論が並ぶ本棚3つ分の書棚

棚の並びで分かること

建築の本と旅の本が同じ列に差してあることがあります

名古屋市千種区では、B.タウト『建築とは何か』とB.ルドフスキー『自然発生的建築を探る』の2冊のとなりに『ベトナム 裏の歩き方』と『イタリア旅ガイド』がありました。同じ列に『POCKET INTERPRETER 六カ国語』も差さっています。

建築を考えるための本と、現地を歩くための本が分かれていません。ヤンゴンやミャンマーの本が複数あったので、実際に見に行かれたのだと思います。読んでから見に行った順に並んでいたのでしょう。

この棚では朝鮮総督府編『朝鮮の風水』と日本民俗建築学会編『図説 民俗建築大事典』も隣り合っていました。昭和6年の調査資料と2001年の事典が、扱っている土地でつながっています。

同じ建築家が何冊も固まっていたら、そこが芯です

京都市山科区の建築家の方は、吉村順三の『設計図集』と『作品集 1941-1978』、丹下健三『TANGE BY TANGE 1949-1959』、F.L.ライトのドローイング集を長く手元に置いておられました。3名の作品集が繰り返し開かれた跡が、本の使用感に残っています。

神戸市灘区では磯崎新『建築の地層』『ル・コルビュジエとはだれか』、伊東豊雄『風の変様体』、隈研吾『対談集 つなぐ建築』が並んでいました。建築を思想として読んでこられた方で、クラシックのCDが約500枚一緒に出てきています。

こうした固まりは、あとから買い集めて作れるものではありません。並びごと拝見します。

だから並べ替えずにお見せいただきたいのです

ジャンルごとに分けてくださる方がおられますが、その手間は要りません。棚の並びは集めた方の関心の順になっていることが多く、抜き出してしまうと分からなくなります。ダイワブックサービスでは棚の左から順に確認していきますので、そのままの状態で結構です。

建築書の買取価格 11,000円から280円まで

実際につけた金額を高い順に並べます

『国宝 唐招提寺金堂修理工事報告書』全5巻揃 別添図付が11,000円、持田武夫『建築規矩術 二軒隅』が10,000円、『愚子見記 法隆寺蔵本完全復刻版』が10,000円。『白井晟一全集』が6,000円、『真宗本廟 東本願寺 御影堂御修復工事報告書』第1冊が5,100円、『吉村順三作品集 1941-1978』が5,000円です。

いっぽうで『世界の名建築解剖図鑑 新装版』は750円、『建築用語図鑑 日本篇』は400円、『世界の建築家 解剖図鑑』は280円になります。

2026年8月時点の参考価格で、状態や時期によって変動します。

同じ建築家の名前でも、本の種類で桁が変わります

『安藤忠雄 建築を生きる』は300円、『安藤忠雄 建築家と建築作品』は3,000円です。同じ建築家の名前がついていて10倍の差があります。前者は一般向けの語り下ろし、後者は作品を収めた本という違いです。

建築家の名前だけでは金額が決まりません。書店で長く売られてきた入門書と、専門の出版社が限られた部数で出した作品集は、別のものとして見ます。

市販されない資料ほど、あとから探されます

修理工事報告書が1万円前後になるのは、刊行部数が数百部で関係機関と研究者に配られて終わり、書店に並ばないからです。次にその建物へ足場が組まれるとき、何年にどこをどう直したかが書かれているのはその一冊だけになります。規矩術の技術書も同じ理由です。

文化財の修理工事報告書については、付図が残っているかで金額がどう変わるかを別の記事にまとめました

大型本は函と反りを見ます

建築の作品集は判型が大きく重いため、平積みにしていた本は底側がへこみ、縦置きでも自重で反ってきます。函入りの全集は函の底の傷みが出やすいところです。ダイワブックサービスでは函の有無と、湿気による頁の波打ちを先に確認します。

傷みがあっても買取対象です。その分を含めた金額でご案内します。

建築書の買取実例 奈良40箱、左京1500冊、千種区1000冊

奈良市は天井まで詰まった書庫から40箱でした

建築の仕事をされていた方のご遺族からのご依頼で、床から天井までの書棚に建築と美術と書の資料が詰まっていました。白い革装の村野藤吾の作品集、丹下健三と石元泰博の『桂』、丹下健三の『技術と人間』『現実と創造』。白川静の字書と石川九楊の書道史も同じ書庫にありました。段ボールで40箱、ハイエースの荷台がほぼ埋まっています。

ご家族の言葉が記録に残っています。「父が建築の仕事をしていて、少しずつ集めた本です。本棚に入りきらなくなってしまい、お願いしました」

村野藤吾の作品集や丹下健三『桂』が床から天井まで詰まった書庫

高槻市は函入りの全集が中心で、その日のうちに運び出しました

『白井晟一全集』と南洋堂出版の『白井晟一研究』I巻からV巻、ジェフリー・ベイカー『ル・コルビュジエの建築 その形態分析』、NA建築家シリーズが約1000冊。函入りの大型全集は判型が大きく重いので、本棚からの取り出しから積み込みまでこちらで対応しました。

お客様からは「大型で重い本も、傷めないように運び出してもらえて安心におまかせできました」とのお言葉をいただいています。

1500冊で半日、値段のつかない分も同じ車に積みます

500冊ほどで査定と運び出しに1時間から2時間が目安ですので、左京区の1500冊は半日で終わりました。引越の日程が決まっていたため、先にその日を伺って逆算で伺う日を決めています。

名古屋市千種区では約1000冊のうち半数ほどに値段がつきませんでしたが、同じ車に積んで持ち帰りました。選り分ける手間も、ご処分の手配も必要ありません。

図面とカタログが一緒に出てきたとき

建築の仕事をしてこられた方の書棚には、本以外のものが混ざります。丸めた図面、建材メーカーのカタログ、年度版の法規集、学会の論文集。ダイワブックサービスでは本と一緒に拝見して、買取の対象になるものとならないものをその場でご説明します。

建築事務所の移転や整理でご相談をいただくこともあります。その場合も本棚の状態のまま伺いますので、事前の仕分けは不要です。日程だけ先にお知らせください。

当店は古物商許可(奈良県公安委員会 第641050000642号)を受け、奈良県古書籍商組合に加盟しています。奈良本店と大阪、京都、神戸の営業所から伺います。

図面 カタログ 法規集の年度版

丸めた図面が棚の上に何本も載っています。本と一緒に見てもらえますか。

本と一緒に拝見します。ただし個人のお客様の情報が入った図面は、そのままお手元に残されるほうがよい場合があります。当日ご相談ください。中身を確認せずに引き取ることはしません。

建材メーカーのカタログが棚一段ぶんあります。これも対象ですか。

カタログは製品が変わると内容が古くなるため、買取が難しいことが多い資料です。ただし棚から抜き出す必要はありません。本と同じ車に積んで持ち帰りますので、そのままにしておいてください。

法規集や実務書が何年分もあります。古い年度のものは処分したほうがいいですか。

処分される前にご相談ください。年度版の法規集は最新版が中心になりますが、作品集や研究書と一緒にお持ちの場合はまとめて拝見します。何年分あるかを数えていただく必要もありません。

建築を見てきた方のご愛蔵書、次の設計者へつなぎます

棚の並びは、その方が建築をどう見てきたかの記録です。